顔や体の左右どちらかに、ピリピリと刺すような痛みと、皮膚に赤い斑点や小さな水ぶくれができる疾患です。
帯状に症状ができるため帯状疱疹と呼ばれています。
水ぼうそうと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、水ぼうそうにかかったことがある人なら、だれでも帯状疱疹になる可能性があります。
加齢やストレス、疲労などが引き金となり、ウイルスに対する免疫力が低下すると潜んでいたウイルスが再び活動をはじめ、神経を伝わり皮膚に到達して病気が発症します。
合併症として、発熱や頭痛、結膜炎や角膜炎(目の病気)、耳鳴りや難聴、顔面神経麻痺、四肢の麻痺などが生じることがあります。また治癒した後に神経痛がしばらく続くことがあり、帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。早期に治療し悪化させないことでこれを予防することが必要です。帯状疱疹後神経痛は、①皮膚症状が重症の人、②夜も眠れないくらい痛みが強い人、③60歳以上の人では発症する可能性が高いといわれています。
治療
抗ウイルス薬の内服で治療します。早期治療が効果的です。重症の場合は点滴や入院治療が必要なこともあります。また痛みに対する治療や神経痛に対する治療、神経痛予防の治療などを組合わせて治療します。
①抗ウイルス薬(バルトレックス®、ファムビル®、アメナリーフ®、アラセナ®)内服、点滴
②痛み止めの内服と軟膏
③傷ができたところには傷の軟膏
④神経痛の治療薬(リリカ®、トラムセット®など)
⑤腫れや炎症をとる内服薬(プレドニゾロン内服など)
⑥赤外線照射(温めて痛みをとります。)
⑦イオンフォレーシス(痛みをとる麻酔を電気で流します。)
帯状疱疹は、80歳までに3人に1人がかかる、といわれるとても身近な疾患です。帯状疱疹には有効な治療薬はありますが、やっかいなのは、後遺症として神経痛が起こり、痛みが長引いてしまうことがあることです。また、顔面神経麻痺や眼瞼下垂、運動麻痺が起こるケースもあります。発症リスクが高まる50歳以上の方や、糖尿病などの基礎疾患がある場合は帯状疱疹の発症リスクが上がりますので接種しておいたほうが良いといわれています。ワクチンを接種すると帯状疱疹の予防になり、神経痛への移行を減らすことが可能ですので、ワクチン接種をお勧めします。また、ワクチンの安全性も蓄積されています。50歳以上で予防接種が可能です。