虫刺されや熱傷(やけど)などで水疱(水ぶくれ)が起きることがありますが、それらとは全く異なる疾患で、自己免疫性水疱症というものがあります。これは、自分の皮膚を攻撃する自己抗体が体の中で作られるため、皮膚が傷害されて水疱を形成する一連の疾患群です。主なものに天疱瘡と水疱性類天疱瘡という疾患があります。
天疱瘡は、中年期以降に多く発症します。初期症状としては難治性の口腔内びらんです。口内炎がひどく治らない状態です。続いて皮膚に破れやすい水疱ができて、痛みやかゆみを伴ってきます。絆創膏を貼ると、はがすときに正常な皮膚も破れてしまいます。診断は、血液で自己抗体の抗デスモグレイン1と3の抗体を調べます。また皮膚生検で診断が可能です。早期に診断し治療しなければ命の危険がある疾患です。薬剤や悪性腫瘍が原因のこともあり、特に高齢者では悪性腫瘍の合併が高いことが知られています。
水疱性類天疱瘡 は高齢者に多い疾患です。天疱瘡と異なり破れにくい水疱ができます。皮膚の赤みが強く、かゆみを伴うこともあります。天疱瘡と同様に薬剤や悪性腫瘍が原因のこともあります。診断は、血液で自己抗体の抗BP180抗体を調べます。また皮膚生検で診断が可能です。軽傷例は外用薬で治癒することもありますが、入院し治療しなければ命の危険がある疾患です。最近は、糖尿病の治療薬で水疱性類天疱瘡が生じる患者さんが多くなってきています。
治りにくい水ぶくれが治りにくいときには早めに医療機関を受診してください。