円形脱毛症は、突然に2~3cmほどの円形の脱毛斑が生じる疾患です。1個だけのこともありますが、多発することもあります。急激に脱毛部位が拡大し、頭部だけではなく全身の毛が抜けてしまうこともあります。爪に点状の穴がみられることも特徴です。
通常は2~3か月で治癒しますが、拡大し多発することや、治癒後に再発することもあります。治療しても難治の場合もあります。
遺伝や合併症
円形脱毛症の約8%に家族内発症がみられると報告されています。また、アトピー性皮膚炎、甲状腺疾患、膠原病、関節リウマチ、尋常性白斑などの自己免疫性疾患が合併することがあります。ます。
当院では、日本皮膚科学会のガイドラインを参考に以下の方法でおこなっています。
単発型や融合傾向のない多発型の脱毛症に推奨されています。副作用に注意しつつ、長期には使わないようにしています。
症状が固定した脱毛症に対して推奨されています。脱毛部に注射を4~6週間毎に行います。小児には基本的には行いません。注射部位は皮膚の萎縮を防ぐためによく揉んでおくことが必要です。
発症後6か月以内で急速に進行している成人に対して行います。1か月以内に脱毛の停止や発毛がみられれば減量していきます。毎日内服する方法と、短期間で多めに内服する方法があり、効果や副作用を相談しながら使います。
脱毛範囲が縮小することが報告されています。特にアトピー性皮膚炎の合併例に効果があることが知られています。他の治療法と併用します。
脱毛部位に冷たい液体で刺激をする方法です。約6割の患者さんで効果がると報告されています。若干の痛みを伴うことがあります。
難治性の脱毛症に対して有効例の報告があります。週に1~3回照射します。他の治療と併用します。
赤外線治療、免疫抑制薬内服、漢方薬などが有効との報告があります。通常の治療に対して難治な場合は、詳しく説明してから治療を選択していただきます。
全身の疾患の経過中または結果として(膠原病、貧血、糖尿病、妊娠・分娩、がん、薬剤、栄養障害など)、あるいは物理的・化学的影響として(パーマ,放射線,ナイロンブラシなど)生じる脱毛症もあります。
毛周期の中で、毛の成長が止まる時期が休止期です。通常は全体の約10%ですが、その割合が増加して薄毛になるのが休止期脱毛です。休止期脱毛を起こす薬剤もあり、以下の薬剤で知られています。
抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、炭酸リチウム、β遮断薬、高脂血症治療薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、金製剤、インターフェロン、レチノイド、抗甲状腺薬、サルファ剤、経口避妊薬、ヘパリン、ドパミン受容体拮抗薬・刺激薬、アロマターゼ阻害薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬
急性休止期脱毛は、ストレス、高熱、手術、出血、栄養不良などが生じた直後から数か月後に生じます。慢性びまん性休止期脱毛は、6か月以上かけて進行し、頭部全体に脱毛が広がります。甲状腺機能異常、糖病病、慢性腎不全が原因になることもあります。