『いぼ』はヒトパピローマウイルスの感染で生じます。うつる病気です。軽微な外傷(細かい傷)から感染することがあります。潜伏期がありますので、治療中にも新しい『いぼ』が出てくることがあります。
自然に治る場合もありますが、いつ治るかは個人差があります。2か月で約20%、2年で約70%が自然治癒したとの報告もあります。
治療には主に凍結療法と外用療法ありますが、なかなか治らない人もいます。重症度や部位、年齢などにより治療法を選択します。
治療
① ヨクイニン内服や漢方薬内服
保険適応がある内服薬で成分はハトムギです。『いぼ』に対する免疫反応を起こすといわれています。さらに効果を高めるために漢方薬を併用することもあります。数種類の漢方を服用し何年も難治だったいぼが消えることがあります。
② 液体窒素
3~4週間に1回、冷たい液体でいぼを凍らせる治療です。数日で水ぶくれができて、かさぶたになり、1か月くらいで『いぼ』がとれてきます。大きいものだと数回の治療が必要です。
③ 外用薬
サリチル酸ワセリンやビタミンD3軟膏などを使います。スピール膏というウオノメにつかう角質を溶かすテープを併用することがあります。厚い角質を削ってから軟膏を塗布すると、より高い効果が得られます。難治な場合は、いぼに対する免疫力を高める外用薬を併用することもあります。難治の方には院内製剤で高濃度のサリチル酸ワセリンを使用しています。水いぼに使うクリームが奏功することもあります。
④ フェノール外用・モノクロロ酢酸外用
皮膚を溶かす液体を塗る治療です。液を塗ると白くなり、皮がむけていきます。痛みはあまりないので、痛みを嫌がる場合にはこの方法で行うこともあります。モノクロロ酢酸はフェノールより強めの治療です。1回でとれないこともあるので回数がかかります。
他に、手術、レーザー、特殊な軟膏で治療することもあります。痛くない治療をご希望の方はご相談ください。
当院では、一般的な治療法に抵抗する手足の『いぼ』に対して、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー照射療法もおこなっています。YAGレーザーは 3~4週間ごとに繰り返し照射をおこないます。YAGレーザー治療の機序としては、①ウイルスが感染している表皮を剝離すること、②栄養血管を熱変性させて病変部を凝固・壊死させること、③温熱による免疫の活性化などが考えられています。